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サロンドマリコの方法論:「読書領域の朗読」入門テキスト

  • 2月8日
  • 読了時間: 6分

更新日:2月24日


(注)ここで扱うのは、上演領域における「読み語り」ではなく、読書領域の「朗読」です。


サロンドマリコでは、読書領域の朗読を「語り手の体験と同じ体験を試みる体験行為」と定義しています。(世界を認知する身体の反応として、予測できない声が自然に出ます。意識的に声を出す表現行為とはまったく別のものです)


朗読は、「仮説と検証」を繰り返す読書法。検証の際には身体に助けてもらいます。その点がとてもユニークです。この反復を愉しんでいるうちに、語り手との距離は徐々に縮まります。


語り手に寄り添って歩けるようになると、私たち朗読者も(自分ごととして)作品世界を生きることができます。


今回は、朗読の具体的なプロセスをご一緒しましょう。こうしなければ…という決まりごとではありませんが、やっていくうちに、自然に身体に馴染むと思います。


最初のテキストは、詩や児童文学などの短い文学作品です。「左脳」「右脳」という言葉は、情報処理の傾向を表すものとして便宜的に使っています。



■ 準備①:一通り最後まで読む


ひとまず最後まで読みましょう。左脳(言語脳)メインで情報を処理しながら、あらすじをつかんでいく感じです。



■ 準備②:右脳でイメージする


あらすじがつかめたら、今度は、右脳(イメージ脳)にさらに活躍してもらいましょう。


読む速度を落としたり、立ち止まったりして、虚構世界をイメージしながらゆっくり読んでみます。声は出しても出さなくてもいいですよ。


語り手の言葉が「あなたの記憶」にコミットすることで、あなたなりのイメージが生まれるのかもしれませんね。


⚫︎ 何か見えてきましたか?色?形?景色?それとも…

⚫︎ 何か聞こえていますか?心地よい響き?騒音?それとも…

⚫︎ においを感じますか?どんな?


等々、ゆっくりと時間をかけて、脳内に虚構世界を立ち上げるつもりで進めましょう。


「いつもの黙読と同じだ」と思いましたか?「えっ、2回も読むの?」と思いましたか? 読むといっても人それぞれです。作品にも、時と場合にもよりますよね。


読書領域の朗読では、ここまでが準備段階です。準備が整ったところで、さあ、朗読を始めていきましょう。



■ 仮説を立てる①:語り手の体験を推察し、脳内に虚構世界を立ち上げる


虚構世界を立ち上げる語り手の言葉は、「認知そのもの」と考えられます。この「認知」というのは、身体と切り離せません。


だからこそ、私たち読者は、句読点や改行等で区切られた「一つひとつの語り」と直結する「脳(認知)・五感・身体のありよう」に近づくことが可能になるのです。


⚫︎ この認知は、どんな知覚と同時に生まれたのだろう?

・〇〇を見たのだろうな

・〇〇が聞こえているのかな

・〇〇を感じているのかな…etc

⚫︎ その知覚は、どんな身体と直結しているんだろう?

・〇〇にいるのだろうな

・位置をこう変えたのかな…etc


このように、語り手が見ているもの・聞いている音等々の仮説を立てながら、虚構世界をイメージしていきましょう。


この段階で、最初にイメージした虚構世界の風景が様変わりすることもあるでしょう。そのままのこともあるでしょう。正解を急ぐ必要など少しもありませんよ。のんびり進めましょう。



■ 仮説を立てる②:虚構世界を、現実世界に二重映しのように立ち上げる


脳内にイメージした虚構世界を、現実世界にぼんやり映し出してみましょう。二重映しに見るような感覚です。


もちろんはっきり見えなくて大丈夫。見ようとする、感じようとする、それでじゅうぶんです。 「あ、なんとなく見える気がする」と思えたら、そんな自分を褒めてあげてくださいね。


(現実世界に二重映しとなった)虚構世界の中心に、自分の「身体」があります。次に行う「仮説の検証」では、この身体を使います。



■ 仮説を検証する:虚構世界を自ら体験してみる


仮説をもとに、眼前の現実世界と二重映しのように立ち上げた虚構世界に、あらためて自分自身の身体を感じましょう。


落ち着いて、ゆっくりと味わうように進められるといいですね。


あなたの「その身体」は、何を、どう知覚していますか?

「その知覚」と同時に生まれる「あなたの認知」はどのようなものでしょうか?


認知のままの言葉が、(思わず出る独り言のように)身体から「こぼれ出る感覚」をたのしみましょう。声量はごく小さくても普段通りでも大丈夫。身体の反応に任せましょう。


語り手と酷似した認知ならば、語り手と同じ言葉が生まれるのかもしれませんね。


でも、ひょっとしたら… 自分の認知を無視して、本当は語り手とはずいぶん違う認知なのに、語り手と同じ言葉を発しているのかもしれません。


そんな可能性も視野に入れて、自分の身体を丁寧にみてあげましょう。


感覚や感情に違和感はありませんか?


言葉が自然に生まれなかったり、違う言葉が生まれたりすることは、当たり前に多々あることです。そのときは、あらためて仮説を立てる段階に戻ればいいだけです♪



■ 仮説と検証の反復


1回目より2回目、2回目より3回目、回を重ねるたびに、より具体的な虚構世界のイメージが、鮮明に立ち上がるようになってきます。


それに伴って、「目」や「身体」の使い方も繊細になってきます。 仮説が洗練されてくる感じでしょうか。


慣れないうちは、サロンドマリコがよろこんで伴走します。安心して試行錯誤にトライしましょう♪


仮説と検証を繰り返すうちに、次第に、語り手が近づいてきます。語り手と同じ言葉が、違和感なく、自然に生まれるようになるまで、気長に反復を愉しみましょう。


脳内に、「新しい認知回路」が敷設されつつあることを面白がる。これがコツかもしれません。



■ 虚構世界の体験を仲間と共有する


世界を認知した身体の反応として、語り手と同じ言葉が生まれるようになったら、その虚構体験を仲間と共有する段階かもしれません。


そうなったときの言葉は、体験にふさわしい音声を伴っています。したがって、朗読者の音声は、その体験を共有する手段となります。


体験の共有は、新たな発見や思いがけない気づきにつながることでしょう。言葉を交わすうちに、さらに語り手が近づいてきますね。


仲間とともに仮説と検証を重ねる時間そのものも、朗読の悦びを与えてくれます。



■ おわりに


大事にしたいのは、虚構世界を「語り手とともに歩く」感覚です。


語り手と同じように見てみる。語り手と同じように聞いてみる。語り手と同じように感じてみる。そのとき湧き上がってくる心情や身体感覚をじっくり味わう。


この朗読の取り組みは、私たち大人にも「新しい体験」をプレゼントしてくれます。


現実世界に戻ってくると、朗読する前の自分とは違う「新しい自分」に出逢えるかもしれませんね♪

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