「読書領域の朗読」へ:パラダイムシフト
- 23 時間前
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更新日:37 分前

「上演領域」から「読書領域」へ移行すると、座標軸は、虚構世界を“届ける”から、虚構世界を“生きる”に変わります。
これは、朗読における「コペルニクス的転回」といえるかもしれません。
従来の「聞き手に届ける朗読」に関わってきた人にとっては、まさにパラダイムシフトと感じられる出来事なのだと思います。
■ 中心が、朗読者から語り手へ
従来の朗読観は、朗読者を中心に据えます。
つまり、朗読者が語り手を解釈します。そして、その解釈を反映させた音声を聞き手に届けようとします。
朗読者は、聞き手に感動を与えることを目指し、表現に創意工夫を重ねます。
一方、サロンドマリコの提示する「読書領域の朗読」の朗読観は、語り手を中心に据えます。
ここでいう語り手とは、言葉によって虚構世界を立ち上げ、読者に体験を促そうとする言語主体です。
朗読者は、語り手の追体験を試みます。そうすることで、語り手に接近しようとします。
つまり、身体を使った「仮説と検証」の往還で、語り手に近づくことを目指します。
追体験を試みると、世界を認知する身体の反応として、音声を伴う言葉が生まれます。
この音声は朗読者の体験と直結しています。したがって、仲間と共有することで、さらに語り手に近づく発見や気づきが期待できます。
「読書領域の朗読」には、個人の読書体験を深化させる「共同体の読書」という側面があります。
■ 転回のポイント
⚫︎ 重心の移動:「朗読者が、自らの解釈で語り手の体験を決める」のではありません。「(言葉で虚構世界を立ち上げようとする)語り手が、朗読者の体験に変容を促す」のです。
⚫︎ 目的の変容:聞き手の評価を意識する外向きのベクトルから、(虚構世界を生きようとする)自分の感覚をキャッチする内向きのベクトルへと、向きが変わります。
⚫︎ 価値基準の刷新:優劣という相対的な評価から、語り手と自分の体験が「どれだけ近づいたか」という身体的納得感へと移ります。
■ 新たな地平に
この転回を、「今日まで積み重ねてきたことの否定だ」と捉えるのではなく、文学の本質に触れる悦びに感謝しながら、力を抜いて「読書領域」に身を置いてみませんか?
この地平に立つと、上演領域の「聞き手を意識して表現された音声」に対して、これまでとは違う印象を持つようになるかもしれません。
きっと、「表出する音声」と「表現した音声」との違いを、虚構の作品世界を生きようとした身体が、繊細に感じ取るのでしょう。
■ おわりに
「読書領域の朗読」は、立ち止まり、身体の感覚に耳を澄ますことの大切さを思い出させてくれます。
評価を気にして上手く読もうとするのではなく、語り手の体験を生きることを愉しんでみるのはいかがでしょう?
語り手の言葉は、その一つひとつが「体験」を内包しています。語り手の追体験を試みることで、思考が耕され柔らかくなっていく感覚、脳内に新しい認知回路が敷設されていく感覚を、いっしょに悦び合いましょう。
慣れないうちは、サロンドマリコが文学体験の伴走者になります。どうぞ安心して読書領域へいらしてください。のんびりとお待ちしています。




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