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新しい朗読:読書領域の学びと体験

更新日:2 日前


〜読書と朗読が繋がることを願って〜


長い間、朗読は、「声の技術」や「表現の巧拙」で評価される、いわば上演領域のものとして捉えられてきました。


しかし、文学作品を味わう読書領域における朗読は、音声の在り方も価値も、まったく別の座標軸の上にあります。


ここで行いたいのは、読書領域と上演領域の区分を使い、いま「朗読」と呼ばれている行為を整理することです。


上演領域で行われる「読み語り」は、上演台本を創意工夫して音読する(読み上げる)表現行為。読書領域で行われる「朗読」は、文学体験を目指す体験行為。このような整理を提案します。



1.「読み語り」(上演領域)とは何か


上演領域で行われる「読み語り」は、文字や文章を、声に乗せて聞き手に届ける表現行為です。


■ 声を出す。間や声色、感情表現など、創意工夫が中心

■ 聞き手の感動や、聞き手とのコミュニケーションが目的

■ 上演を前提に創作された台本を扱う

■ 読書領域における詩や小説・物語・エッセイも、上演台本とみなされる


この領域では、表現者の技術や表現力が価値を持ちます。



2.「朗読」(読書領域)とは何か


読書領域で行う「朗読」は、文学作品(詩や小説)・物語・エッセイの語り手と同じ体験を試みる体験行為です。体験とともに表出する音声は、仲間と共有されることで、より語り手に近づく手段となります。


■ 言葉の生成に立ち会おうとする

■ 声は、言葉が生まれるときに付いてくるもの。声を出すという意識を持たない。音声は体験の副産物で、目的ではない(体験の共有が可能になる点で音声が必要)

■ できる限り聞き手を意識せず体験に集中する

■ 虚構世界(ただしエッセイの場合は作者の生きる世界)をイメージ・創造し、その世界を生きようとする

■脳と心の成長が目的


ここでは、読者の体験そのものが中心です。

文章は体験の種。自らの脳と身体を使い、その種が芽吹く瞬間に立ち会うチャレンジです。



3.読書領域と上演領域を分ける意味


この整理には大きな意味があります。


目的の明確化


・上演領域=語りに秀でること

・読書領域=作品を体験すること


これにより、読書領域の読者は迷うことなく語り手の追体験に集中できます。


②名前の整理 →「朗読」という言葉をそのまま使うと両者が混同される


・文学作品を上演台本として扱う上演領域は「読み語り」:聞き手に向けて読み語る行為

・文学作品を文学作品として扱う読書領域は「朗読」:虚構体験が他者にも朗かになり得る体験行為


このように分けることで、混乱を避けられます。



4.理性と感性を育てる学びとしての朗読


用意された言葉を、各自の現時点での能力で出力する「読み語り」は、聞き手に感動を与えるために行われる表現行為です。表現者は、より優れた「読み語り」を目指します。


言葉が生成する瞬間に立ち会う「朗読」は、他人との比較がない読書行為です。的確に虚構世界をイメージする言語力・想像力が育ち、他者理解を通して新たな自分に更新されます。


これまでみてきたように、読書とつながる朗読は、学ぶという行為です。朗読は、理性(言語力)と感性(想像力)を育み、知性をアップグレードするための良き手段なのでしょう。



まとめ


上演領域:読み語り=聞き手の感動を目指す表現行為

読書領域:朗読=自らの文学体験を目指す体験行為


この整理により、読者は迷いにくくなるのではないでしょうか。


朗読は、文学作品の語り手と対話する時間です。それは、他者の思考回路を取り込み、自己を更新する旅のようだと感じています。


このように整理しても、声の表現を磨く「読み語り」には美しい価値があり、私たちにとって大事な活動です。その現実に変わりはありません。


そして、この「読み語り」をより魅力的にするための営みとして、「朗読」を捉えることができます。「朗読」という学びでグレードアップした自分だからこそ、「読み語り」を通した自己表現が、今よりもさらに輝くのです。



最後に


朗読と読書にズレがあるのではないか。「朗読」という同じ言葉が、異なる行為を指して使われている。この混乱は、学びの場を狭くしてしまうのではないかーーそんな問いから、この整理は始まりました。


私自身の実践と試行錯誤の中で、「朗読」と「読み語り」をこのように整理すると、腑に落ちる感覚がありました。皆さまはいかがでしょう?


幾つになっても学ぶ機会を与えてくれる文学作品と、学びを進める手立てとなってくれる朗読、そして学びを共にする仲間たちに、こころから感謝しています。



☆この理論編の記事とともに、以下の身体編の記事もぜひお読みください。


☆こちらは実践編の記事です。




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